イン・ザ・ヒーロー

本城渉は、「下落合ヒーローアクションクラブ」の社長兼スーツアクターであり、この道25年のベテラン。現在、TV放映中の『神龍戦士ドラゴンフォー』の主役・ドラゴンレッドのスーツアクターとして、満身創痍になりながら日々汗を流して仕事に取り組んでいる。いつの日か、自分の顔と名前を出して、映画出演することをいまだに夢見る本城に、数年ぶりにヒーロー番組の映画版に出演する機会が巡ってくるが、その喜びもつかの間、その役は新人俳優に取られてしまう。役を降ろされることには慣れているものの、その相手が人気絶頂の生意気な一ノ瀬リョウ。そんな二人は当初現場でぶつかり合うものの、ある事件を機に、互いを解り合い、仲間意識も芽生えていく中、他のアクション俳優たちと共にトレーニングを積んでいくうちにリョウは成長していく。そんな折、リョウはかねてから夢見ていたハリウッド映画『ラストブレイド』への出演をオーディションで勝ち取る。そんなある日事件が起こる。この映画のクライマックス・シーンとなる凄絶なアクション撮影に、米国のアクション俳優が撮影を降板してしまうのだった。撮影が続行不可能になる中、その代役として、本城に白羽の矢が立つのだが…。